声帯内自家側頭筋筋膜移植術(ATFV)
動画
ATFV(Autologous Transplantation of Fascia into the Vocal fold:声帯内自家側頭筋筋膜移植術)
声帯溝症や声帯の萎縮など左右の声帯が、発声時しっかり閉じない声門閉鎖不全の状態になります。そのような場合、声帯のBodyとcoverの間の緩衝帯であるラインケスペースが正常に比べて薄くなります。そこで声帯を2枚におろして、ラインケスペースつまり声帯の粘膜下にポケットを作成、ポケットの中に耳の後ろからとった、患者さん自身の健康な細胞を含んだ同じく間葉系結合組織の自家筋膜を層として移植し、声帯を再生させ声門閉鎖不全を解消させます。自家移植であるため、BSEやウイルス、細菌などはもちろん今後の未知なる感染症にも安全です。
※右矢印クリックで動画を再生します。(2分10秒)
ATFV 声帯粘膜の剥離と縫合のコツ
ATFVにおける最も難しい点が声帯を2枚におろし、声帯のbodyとcoverの間にポケットを作成する事です。剥離には専用の機器を用います。
コツは上向き横開き鉗子でのコツはcoverからbodyを剥がすように用いると、粘膜に傷がつきません。縫合は喉頭鏡の外で縫い目を作り、縫合器で結び目を中に送り込みます。
このような細かい手技を喉頭超微細手術Phono-Ultra Microsurgeryと呼んでいます。
※右矢印クリックで動画を再生します。(1分45秒)
脳梗塞と内頸動脈走行異常
年をとって、首が曲がり短くなって猫背のようになって背が低くなります。その結果首が短くなった分、頸動脈(脳に行く動脈)が曲がります。この場合最も抵抗の少ない口の奥(咽頭後壁)に走行異常として変位・蛇行する場合が多いようです。咽頭にない場合は首で総頸動脈が蛇行する場合が多いようです。当研究部門では脳梗塞の危険因子と考えています。
動画は、内頸動脈走行異常を起した典型的な患者さんの姿勢、口腔咽頭内所見(突き当たり、のどちんこの両脇が拍動しています。) です。
普通は見えないところに隠れている両側の内頸動脈が咽頭の粘膜の下に蛇行してきて拍動しています。(音は患者さんの脈の音です、拍動と脈の音が同期しています。) レントゲン写真は3D-CTで 左右赤い内頸動脈が真ん中でぶつかるところが、咽頭後壁の位置です。
今後、加齢で姿勢が悪くなり、背が低くなった人の咽頭を、積極的に脈をとりながら観察することで、「脳梗塞が起きる前にその予防が出来れば!」と考えています。
※右矢印クリックで動画を再生します。(1分01秒)