緩和ケアセンター

緩和ケアを必要とする患者さんやご家族に対して、診断後早期から様々な場面において切れ目のない全人的緩和ケアを提供し、また、緩和ケアに関する教育・啓発や地域医療へ貢献することを目的として緩和ケアにかかわる部門を集約した『緩和ケアセンター』を開設しています。

がん療養中には、身体のこと、お薬に関する疑問、社会生活に関する事柄、気持ちの揺らぎなど、いろいろな問題に直面することがあります。そして、それらの問題は、１つ１つが独立した問題ではなく、複雑に絡み合って患者さんが抱えていることが少なくありません。例えば、「痛みがあることによって眠れなくなる。眠れない夜には、家計や仕事、家族や知人との関係のことなどを考えてしまい気持ちがつらくなる。気持ちがつらくなると、活動が乏しくなり食事の摂取量が少なくなる。活動が乏しくなることで痛みなどの身体の不調をより感じやすくなる」といった具合です。したがって、患者さんの抱える問題をある側面のみに注視し、個別に対応してもうまく対処できないことがあります。当センターでは、院内で実施している生活のしやすさに関する質問票（スクリーニングシート）を活用し、患者さんの苦痛の把握、必要とされる緩和ケアの提供に努めています。また、入院・外来を問わずに専門的緩和ケアを必要とする患者さんに対して、より迅速に的確な対応が提供できるよう、病棟回診メンバーによる日々のモーニングカンファレンス、週1回の多職種カンファレンス、月2回の骨転移キャンサーボードを開催し、問題点を共有するとともに必要な対応について多部門一丸となって患者さんを支援する体制を整備しています。

また、患者さんの状態に合わせて、各診療科と連携し身体症状に対する非薬物療法にも取り組んでいます。

例）

• がん性疼痛：緩和的放射線治療（放射線治療科）、画像下治療（IVR）技術を用いた神経叢ブロック治療（放射線診断科）、装具療法や物理療法、疼痛増強を予防する適切な動作方法の指導（リハビリテーション科・整形外科）、骨転移による骨折や脊髄麻痺に対する外科的治療（整形外科）など
• 悪性胸水：胸膜癒着術（呼吸器内科）
• 上部尿路閉塞：尿管ステント挿入法または経皮的腎瘻増設術（泌尿器科）
• 消化管閉塞：胃瘻造設術、人工肛門造設術（一般消化器外科）

患者さんとご家族のご相談内容に応じて各担当部門で対応しています。また、案内窓口はがん相談支援センター が担当し適切な部門をスムーズに受診できるよう連携しています。

身体症状担当医師、精神症状担当医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床心理士からなる定期的な病棟回診メンバーを核として、その他、放射線科医師、整形外科医師、歯科口腔外科医師、リハビリテーション科医師・療法士、管理栄養士、メディカルソーシャルワーカーより構成されるがんサポート/心不全緩和ケアチーム（多職種横断チーム）が、プライマリーチームと協働し、診療を行っています。

緩和ケアの啓発のための一般市民向けの市民公開講座、医療従事者向け各種研修会や勉強会などを企画・運営しています。

がんの療養と緩和ケアを学ぶ市民公開講座

2017年より、当院・日本赤十字社医療センター・関東中央病院の3病院にて共同開催しています。今年度も開催を予定しております。10月初旬を目安に今年度の開催案内を掲載予定です。

2024年12月27日（金）まで公開

緩和ケアセミナー

緩和ケアセンターに参加している多職種が講師となり、それぞれの専門分野からのトピックスをわかりやすく解説します。当院職員はもちろん、それ以外の地域医療従事者にも広くご参加いただいております。がん診療に携わる医師の皆さまは、積極的にご活用ください。セミナー内容の詳細や開催スケジュールについてはこちらをご覧ください。

病診薬連携緩和ケア研究会

当院と地域の病院、診療所、調剤薬局とのより細やかな連携を目指し、また、緩和ケアに関する先進的な知識をより深めていく目的で医療従事者を対象に毎年開催しています。

がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会

がん診療に携わる医師が、緩和ケアに関する基本的な知識を身に付け、病気の診断時から緩和ケアが適切に提供される体制を構築する目的で開催しています。最新の東京都内の開催スケジュールに関しては、東京都福祉保健局の東京都がんポータルサイトをご確認ください。