腎臓・内分泌・代謝内科

外来担当医表

腎臓内科

診察場所 初診/再診 診察時間
診察室1 初診   藤村(腎内)   〇門松(1,3,5週)
〇松浦(2,4週)
〇門松(腎内) 〇松浦(腎内)
診察室6 再診 午前 〇松浦(腎内) 〇門松(腎内) 〇松浦(1,3,5週)
〇門松(2,4週)
藤村(腎内) 〇松浦(腎内)
午後 〇松浦(腎内)     藤村(腎内)  
診察室7   午前   〇小林(甲状腺/副腎)   〇小林(甲状腺/副腎)  

糖尿病・内分泌内科

診療科 初診/再診 診察時間
内分泌代謝   午前 岩瀬     岩瀬  
午後          

◇印は副院長
〇印は医長

概要・基本方針

腎臓内科

腎臓内科では、検尿異常、急性腎障害、慢性腎臓病、二次性高血圧(副腎疾患など)、電解質異常、透析医療、シャントPTAなどを担当しています。医長含めスタッフ医師3名とレジデントで診療に当たっています。当院は、日本腎臓学会と日本透析医学会の研修施設であり、若手医師の教育にも力を入れています。

糖尿病内科

糖尿病科(腎臓・内分泌・代謝内科所属)は2023年4月より人員減員となり、専門医一名体制となったため初診の受け入れ、教育入院などの対応が困難となりました。

そのため他科からの依頼などの対応がメインとなっておりますが、糖尿病チームは継続しており、看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士、検査技師ら協力しながら、患者さんにとって手厚いチーム医療を実践しております。

そして、当科は、医療連携にも積極的に力を入れておりまして、糖尿病の状態が落ち着いた場合には、地域の開業医さんへ積極的に逆紹介させていただいております。

※内分泌疾患、甲状腺疾患につきましては内分泌専門医と甲状腺専門医を持った医師が別途対応していますのでご確認ください。

内分泌内科

腎臓・内分泌・代謝内科の一部門として、主に内分泌疾患の診療を行っております。

診療の特徴

腎臓内科

近年、慢性腎臓病(CKD)という概念がよく提唱されるようになりました。尿蛋白や尿潜血といった検尿異常 もしくは 腎機能障害(GFR<60mL/min/1.73m2)が、3か月以上持続するとCKDという定義に当たります。健診の結果、開業医さんから「あなたは慢性腎臓病(CKD)ですね」と言われている方は、一定数おられると思います。

ただ、CKDという用語は、「慢性的に腎臓が悪い」と表現しているだけで、その方の病状について何も考察がされていません。だから、開業医さんで慢性腎臓病(CKD)と言われたら、その先の情報を得るために、ぜひ当院腎臓内科を受診してください。こちらでは患者さんの病状を個別にきちんと把握して、

  1. 腎臓が悪くなった原因
  2. 今後の経過(急激に悪くなるのか慢性的で緩やかに経過するのか)
  3. 治療方針

をきちんとご説明させていただきます。そもそも大きく分けて、CKDの患者さんは、

  1. 「糸球体腎炎など腎臓自体の病気」と
  2. 「糖尿病や高血圧などの生活習慣病、薬剤の副作用、脱水などが原因でCKDになった状態」

の2つに分けられます。そのため、患者さんが来院されたら、詳細な問診や診察を行ったうえで、腎臓病鑑別のための特殊な採血(普段よりも多い本数の採血を採られます)と検尿、腹部エコーなどを行います。その結果、

  1. 「糸球体腎炎など腎臓自体の病気」があると判断した場合、必要に応じて腎生検を行い、腎臓が急激に進行するのを防ぐためにステロイドや免疫抑制剤の使用を行います。
    これに対して、
  2. 「糖尿病や高血圧などの生活習慣病、薬剤の副作用、脱水などが原因でCKDになった状態」
    の場合は、腎生検は行わず、腎臓悪化の原因を取り除いたり、生活習慣病の管理、栄養指導を行ったりすることになります。

腎生検という検査は、患者さんがうつぶせに寝た状態で背中側から針をさして腎臓の一部を採取する手技です。これを行えば、ほぼすべてのCKDの患者さんの腎機能悪化原因に診断をつけることが出来ます。ではなぜ、エコーやCTのように気軽に検査が出来ないかというと、腎生検はそれなりに危険だからです。体の外から針を腎臓に刺すので 100%出血します。この出血が自然に止まるので腎生検が検査として成立するのですが、出血が止まりにくく安静にする期間が延びるような軽い合併症が 100回に2回、輸血を要したりカテーテルを用いた止血術を要したりするような重い合併症が 1000回に2回起こると言われています(全国平均)。

ただ、大多数の患者さんは3泊4日の入院で無事退院されます。

当院では、この腎生検という検査を、年間40~50件行っています。ある程度危険な検査なので、検査が本当に必要な人をきちんと選び出し、安全に行うことが重要です。一例を挙げると、尿蛋白が多い人は腎生検の適応になる可能性があるかもしれません。

健診で蛋白尿が(3+)以上の方は、5年で約5%、10年で約10%が末期腎不全(つまり透析)になるという報告があります。また、これは少し専門的な話になりますが、日本人の糸球体腎炎で最も多いと言われている「IgA腎症」が想定され、その中でも尿蛋白が多い方の場合は、腎生検を行う価値があります。診断をつけてステロイドの治療を行うことにより、将来透析になる確率を格段に減らすことが出来るからです(有名なPozzi Cらの論文(2004年)では 無治療だと10年後 に47%末期腎不全になってしまうところ、治療により 3%にまでリスクが低減できた)。

よく外科系の診療科は手術手技など病院によって差があるとお考えになっている方が多いと思いますが、腎臓内科の診療はその病状が把握しにくい分、病院によって診療内容の差が大きいのではないかと考えています。あなたは、ご自身の通われている病院で大した説明も受けず、採血と検尿のみでひたすら経過観察のみ受けてはいないでしょうか?

ステロイドなど個別の治療を要するCKDの患者さん、生活習慣病に由来するCKDの患者さんのいずれにおいても、栄養指導や血圧管理など腎臓を長持ちさせるための工夫が必要です。これは外来にてきちんと管理していきます。

ただ、どうしても腎臓機能の廃絶が避けられない方がおられます。その際に、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかを選択しないとそこで死を迎えることになります。逆に言うとこれらの治療を選択できれば、腎不全だけでお亡くなりになることはありません。

腎移植に関しては当院では行っていないので、希望がある方は他施設をご紹介いたします。血液透析もしくは腹膜透析ならば、当院で開始することが可能です。当院では、年間約40-50人の方が、透析を導入されています。

腹膜透析については腹部にカテーテルを挿入する必要がありますが、慶應病院スタッフの援助も借りて診療に当たっています。血液透析を選択した場合、その後ずっと週3回の治療を受ける必要があります。これを維持透析というのですが、基本的に当院では維持透析を行っていないので、ご自宅近くの透析クリニックに通っていただくことになります。ただその後、体調が悪くなって入院した場合は、当院透析室にて透析対応しますのでご安心ください。

血液透析を行うためには、事前に「シャント」という腕の血管の手術を受けておく必要があります。この手術を受けてすぐに透析は出来ないので、透析が予想される段階の数か月前にこの手術を受けていただくことが理想です。すると、血液透析開始の時に、スムーズに治療が始められます。このシャント手術は当院血管外科医が担当しています。ただし、このシャントは一生無事に使える訳ではなく、狭窄したり閉塞したりすることが、しばしば起こります。シャントが狭窄した場合、

PTAという手術で狭くなった血管を拡げる治療がありますが、これは腎臓内科と血管外科で担当しています。それぞれの科で年間約50件ずつ、併せて約100件のPTAを行っています。

高血圧の患者さんで、若いうちから血圧が高い方や、何種類も降圧薬を内服しても血圧が下がらない方の場合、何らかの特別な原因が潜んでいる可能性があります。これを「二次性高血圧」といいます。

二次性高血圧は、原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが比較的頻度が高いと言われています。

当院では二次性高血圧の診断から治療までスムーズに診療に当たることができます。原発性アルドステロン症の診断をつけるためには、副腎静脈サンプリングという特別な検査が必要でこれが出来る施設は限られているのが実情です。当院には慶應病院でこの検査を行っている放射線科医師が非常勤で勤務しているので、検査により原発性アルドステロン症の診断を行い、治療方針を決めることが可能です。

腎臓病には遺伝する希少疾患があります。常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)については予後改善のため、サムスカ®での治療を当院にて行うことが出来ます。また当院には、遺伝センターがあるので、例えば Gitelman症候群といった希少疾患も確定診断を付けることが可能です。

内分泌・代謝内科の詳細な説明に関しては、上記の別リンクでぜひご確認ください。年間126名の初診患者をご紹介いただき、1日平均約26.7名の患者を診察しています。リハビリ科の先生や、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師などと協力し、糖尿病教室に取り組んでいます。また積極的に糖尿病教育目的入院を行っています。糖尿病患者の内訳としては10%が食事のみ、経口糖尿病薬が65%程度、25%程度がインスリン治療です。また多くが2型糖尿病患者ですが、1型糖尿病患者も30人程度通院しています。

糖尿病内科

対応している疾患は、主に、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、膵性糖尿病、ステロイド糖尿病、などになります。

当院では糖尿病チームが活動しており、医師だけでなく、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、検査技師と協力しながら、患者さんにとって手厚いチーム医療を実践しております。

また、これから手術や抗がん剤を予定されている方の血糖コントロールや、他科入院中である方の血糖コントロールにも対応しております。

退院後もインスリン注射が必要である方には、病棟看護師だけでなく病棟薬剤師からも手厚い指導をさせていただき、安心して自宅へ退院できるように、全力でサポートさせていただきます。

内分泌内科

主に下垂体疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、副腎疾患、性腺疾患等の内分泌疾患の診療を行います。
昨今免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象が増加しています。免疫関連有害事象の中でも頻度が高いのが内分泌障害(甲状腺機能障害、下垂体機能障害、副腎障害)です。当科では院内各科と連携の上で積極的な対応を行っております。

診療実績

腎臓内科

    件数
1 腎生検 24
2 血液透析 1938
3 血液透析導入 36
4 腹膜透析導入 1
5 血漿交換 28
6 持続的血液浄化療法 362
7 シャントPTA(内科) 105
8 シャントPTA(外科) 97

糖尿病内科

院内活動一覧

2020年度

手技・検査・手術 等 数(年間)
1 患者向け糖尿病教室(全13回/年間)←多職種と協力 うち医師担当4回
2 職員向け糖尿病勉強会(全4回/年間)←多職種と協力 うち医師担当1回

2018年度

手技・検査・手術 等 数(年間)
1 患者向け糖尿病教室(全48回/年間)←多職種と協力 うち医師担当12回
2 職員向け糖尿病勉強会(全10回/年間)←多職種と協力 うち医師担当4回

学会発表

  • 第64回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2021年)
    劇症1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシスに非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia:NOMI)を合併した1症例
    山田康博,林哲朗,黒澤秀章,岩瀬恭子
  • 第63回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2020年)
    ニボルマブ使用後に発症した1型糖尿病,続発性副腎不全の1例
    林哲朗,山田康博,黒澤秀章,磯部陽,岩瀬恭子
  • 第63回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2020年)
    SGLT-2阻害剤開始後にケトアシドーシスと急性壊死性食道炎を起こした1症例
    山田康博,林哲朗,中里圭宏,黒澤秀章,岩瀬恭子
  • 第62回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2019年)
    2型糖尿病治療中、糖尿病ケトーシスを契機に膵サルコイドーシスが診断された1例
    岩原彰秀,黒澤秀章,藤本和志,額賀重成,雪野満,安富大祐,白石淳一,岩瀬恭子
  • 第40回 日本臨床栄養学会総会 (2018年)
    当院における2型糖尿病患者のセルフマネージメント、環境因子と治療成績との関連
    杉田絵里那,山田康博,黒澤秀章,伊奈川愛菓,加島汀子,早坂知美,尾藤誠司
  • 第61回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2018年)
    当院におけるオマリグリプチンの使用経験
    黒澤秀章,岩瀬恭子
  • 第60回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2017年)
    GAD抗体高力価陽性の妊娠糖尿病で、出産後1型糖尿病を発症したと考えられる1例
    岩瀬恭子,黒澤秀章
  • 第60回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2017年)
    薬剤性過敏性症候群に1型糖尿病を合併した2例
    黒澤秀章,岩瀬恭子

※2017年10月より、日本糖尿病学会認定教育施設1として認定

※当院では、医師と他職種により構成される糖尿病チームが活動しており、毎週ミーティングがあり、他職種(看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、検査技師)と連携が取りやすく、糖尿病のチーム医療を実践しております。

2020年度 糖尿病教育入院 63名(糖尿病に関する併診221名)外来890人
2019年度 糖尿病教育入院 54名(糖尿病に関する併診215名)外来850人

スタッフ紹介

松浦 友一
氏名
松浦 友一 (まつうら ともかず)
職名
科長
卒業年度
1994年卒
資格
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、日本腎臓学会専門医・指導医・評議員、医学博士、日本透析医学会専門医・指導医、日本高血圧学会専門医、ICT(インフェクションコントロールドクター)
専門分野
腎臓内科、透析、二次性高血圧(副腎疾患)、電解質
メッセージ
腎臓が悪くなった原因・悪化の程度・今後の見通し・治療法につき、個々の患者さんをきちんと評価して具体的にご説明します。ぜひ当院腎臓内科を受診ください。
門松 賢
氏名
門松 賢 (かどまつ さとし)
職名
医長 (健診センター センター長 併任)
卒業年度
1994年卒
資格
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医・指導医、日本静脈経腸栄養学会認定医、VAIVT認定専門医
専門分野
腎臓内科、透析、シャントPTA、多発性嚢胞腎
メッセージ
より良い医療の提供に努めてまいります。
小林 佐紀子
氏名
小林 佐紀子 (こばやし さきこ)
職名
医長
卒業年度
1998年卒
資格
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、日本内分泌学会専門医・指導医・評議員、日本甲状腺学会専門医、日本腎臓学会専門医
専門分野
内分泌疾患
メッセージ
甲状腺専門病院、大学病院勤務を経て、2023年4月から東京医療センターに勤務しております。患者様にできるだけわかりやすく説明をさせていただき、専門的な加療を行っていきたいと思います。是非当科受診をご検討下さい。
岩瀬 恭子
氏名
岩瀬 恭子 (いわせ きょうこ)
職名
副医長
卒業年度
2000年卒
資格
日本内科学会 内科認定医・総合内科専門医・研修指導医、日本糖尿病学会 糖尿病専門医・研修指導医 学術評議員、緩和ケア研修 受講修了
専門分野
糖尿病内科
藤村 慶子
氏名
藤村 慶子 (ふじむら けいこ)
職名
医員
卒業年度
2004年卒
資格
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、医学博士、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析学会専門医・指導医、日本高血圧学会専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医、日本臨床栄養学会認定臨床栄養医、VA血管内治療認定医
専門分野
腎臓内科、透析、シャントPTA
メッセージ
最新の知見を踏まえた上で患者様と相談し、一人一人に合わせた検査治療を行っていきます。女性の患者様もご相談ください。
橋元 麻里子
氏名
橋元 麻里子 (はしもと まりこ)
職名
レジデント
卒業年度
2020年卒
資格
腎臓内科
メッセージ
慣れないことも多いですが、精一杯頑張ります。
織部 峻太郎
氏名
織部 峻太郎 (おりべ しゅんたろう)
職名
レジデント
卒業年度
2021年卒
資格
腎臓内科
メッセージ
患者さんにとって納得感のある医療を提供できるように努めて参ります。
中嶋 慧悟
氏名
中嶋 慧悟 (なかじま けいご)
職名
レジデント
卒業年度
2021年卒
資格
腎臓内科
メッセージ
患者さんの将来のため、日々研鑽を積んでいきたいと思います。
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