人工関節・再生医療センター
外来担当医表
概要・基本方針
低侵襲手技による人工股関節置換術を2012年4月より導入し、クリティカルパスの入院期間短縮化、同種骨バンク整備を行い、2013年10月1日より人工関節センターを開設しました。
股関節および膝関節疾患の人工関節手術に関する専門部門になります。各々の専門医が診療にあたり、特に人工股関節手術はわが国有数の手術件数を誇り、人工関節・再生医療センターを開設以来、人工股関節置換術の症例数は右肩上がりに増えております。2024年1月1日~2024年12月31日までの初回人工股関節置換術(THA)、人工股関節再置換術(Revision THA)を合わせて計300件を施行しました。目黒区・世田谷区だけでなく、青森・秋田・岩手・福島・静岡・山梨・千葉・茨城・埼玉・新潟・長野・岐阜など遠方からの紹介患者も多数引き受けています。
ほとんどの症例で手術アプローチは筋腱を温存した最小侵襲手技によって行い、再置換術など限られた症例のみで中殿筋切離アプローチ(側方アプローチ)を行っています.この最小侵襲手技による方法は筋腱を傷めないことにより、術後疼痛の軽減、歩行能力の改善が早く、術中出血量も少ない、後方脱臼をほぼ生じないというメリットがあります。トラネキサム酸の術直前および閉創前局所投与によって自己血貯血もドレーン留置も当院では行っていません。両側同時人工股関節置換術も積極的に行っています。
人工膝関節置換術に関しても、地域の医療連携施設から多くの紹介患者があり手術件数は増加の一途にあります。2024年は125件行いました。
診療の特徴
当センターは整形外科単科病院の人工関節・再生医療センターではないので、重度の合併症を有する症例や術中・術後の合併症が生じた症例に対しても他科との迅速な連携によって周術期管理が安心・安全に行われるのが一番の特徴です。
また、人工関節手術を受ける前の患者さんに対して自己多血小板血漿(PRP)や培養幹細胞療法 (自費医療)さらに Coolief疼痛管理高周波システム(保険診療)も導入し、手術以外の選択肢が提供されています。2023年より人工関節支援ロボット(MAKO)を導入し、より正確なインプラント設置と低侵襲かつ安全性の高い手術を行っています。
人工股関節は、基本的に筋腱を温存した最小侵襲手技によるアプローチ(Modified Watson-Jones approach (OCM) を用いて行っています。このアプローチの特徴は中殿筋を傷めないことにより術後疼痛が少なく、早期の回復が期待できます。後方支持組織の温存と関節包の修復により後方脱臼のリスクが極めて少なくなります。トラネキサム酸 の術前静脈内投与と関節内投与により出血量は平均 110ml で少ない時は 100ml 以下でありドレーン留置は行っていません。さらに、術前の自己血貯血も行っておらず、術後の同種輸血も行なっていません。再置換術や大腿骨に引き下げが必要な症例、Crowe 4型の脱臼性股関節症で大腿骨短縮骨切り術を併用する症例の際には側方アプローチを選択しています。
全例で術前骨盤CTを撮影し専用ソフト(Zed Hip)を用いて3次元的な綿密な術前計画を行い、患者自身に最適なインプラントを選択しています。また全例に骨密度を測定し、骨脆弱性がある場合にはセメント使用インプラントも選択しインプラント周囲骨折の少ないインプラント選択を行っています。
人工膝関節に関しては、人工膝関節全置換術(TKA)だけでなく、下肢アライメントが保たれていて、外側の関節軟骨の変性が少ない場合には人工膝関節片側置換術(UKA)を積極的に適応しています。UKAは侵襲が少ないので術後の疼痛が少なく、患者満足度が高い傾向にあります。人工膝関節にもロボットを用いることができ、至適な軟部組織バランス・正確なインプラント設置・安全性の高い手術を提供しています。
扱う主な疾患
変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死、変形性膝関節症、関節リウマチ
診療実績
人工関節置換術
| 人工股関節置換術 | 人工膝関節置換術 | |
|---|---|---|
| 2024年 | 300 | 125 |
| 2023年 | 309 | 66 |
| 2022年 | 246 | 54 |
| 2021年 | 192 | 31 |
膝関節
| 関節鏡手術(ACL/PCL/半月板) | 脛骨骨切り | |
|---|---|---|
| 2024年 | 83 | 10 |
| 2023年 | 81 | 4 |
| 2022年 | 56 | 5 |
| 2021年 | 60 | 0 |
スタッフ紹介
- 氏名
- 藤田 貴也 (ふじた よしなり)
- 職名
- 人工関節・再生医療センター長/整形外科医長
- 卒業年度
- 1995年卒
- 資格
- 日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定リハビリテーション医、日本股関節学会、日本人工関節学会 (評議員)、人工関節認定医、日本関節病学会 (評議員)、日本関節病学会認定医、Hip Forum(世話人)、日本抗加齢医学会認定医
- 専門分野
- 股関節、人工股関節置換術(最小侵襲手術)、再生医療
- 経歴
- 1995年3月 慶應義塾大学医学部卒業
1995年5月 慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
2009年1月 慶應義塾大学整形外科股関節班チーフ
2013年4月 独立行政法人国立病院機構東京医療センター整形外科
2021年4月 東京医療センター医長 人工関節センター センター長
2021年5月 東京医療保健大学 大学院看護学研究科 臨床教授(兼任)
1995年5月 医師免許取得
2002年3月 整形外科専門医取得
2007年2月 博士号(医学)取得 - メディア記事・雑誌・書籍リンク
- https://share-me.design/fujitameister
- 氏名
- 佐々木 遼 (ささき りょう)
- 職名
- 人工関節・再生医療センター副センター長/整形外科医員
- 卒業年度
- 2014年卒
- 資格
- 日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定スポーツ医
- 専門分野
- 膝関節、人工関節手術、再生医療
- 氏名
- 林 哲平 (はやし てっぺい)
- 職名
- 整形外科医員/骨折治療センター副センター長
- 卒業年度
- 2014年卒
- 資格
- 日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医、AO Trauma Japan 上級会員
- 専門分野
- 膝関節、人工関節手術
- 氏名
- 西村 太一 (にしむら たいち)
- 職名
- 整形外科フェロー
- 卒業年度
- 2017年卒
- 資格
- 日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医
- 専門分野
- 股関節、膝関節、人工関節手術
- 氏名
- 安東 悟司 (あんどう さとし)
- 職名
- 整形外科医員
- 卒業年度
- 2018年卒
- 資格
- 日本専門医機構認定整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医
- 専門分野
- 股関節、人工関節手術