平成28年度 実験動物慰霊祭

日付 2017年01月12日
場所 東京医療センター 管理棟 6階 地域医療研修センター
式次第
  1. 開式の辞 東京医療センター院長 武田 純三
  2. 慰霊のことば 臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部長 松永 達雄
  3. 黙祷
  4. 献花
  5. 閉式の辞 臨床研究センター 分子細胞生物学研究部長 岩田 岳

慰霊祭 写真

慰霊の言葉

平成28年度 東京医療センター臨床研究センターの実験動物慰霊祭に当たり研究に関わる者を代表して、実験動物に対し謹んで慰霊の言葉を述べさせて頂きます。平成27年度当センターにおいて医学研究のために犠牲となられた動物は、マウス704匹 ラット11匹 豚57頭を数えました。これらの実験により得られた成果は感覚器研究である耳鼻咽喉科学、眼科学分野をはじめ、基礎医学、臨床医学分野において、多くの論文や学会発表として公表されました。

今日の医学生物学の実験分野においては、分子細胞学的研究手法の発展とともに、できるかぎり個体を使わず、細胞のみの使用によって目的とする研究成果を挙げることのできる環境が進みつつあります。それでも、いざヒトへの応用に進むときに、どうしてもヒトに近い動物、そして命ある動物での検証が避けて通れません。それはヒトでの有害な事態を避けるためであり、ヒトでの効果の確証となるからです。一方、どのような動物においても、ヒトと比べて与えられた生命に軽重はありません。その命の短さも、大宇宙の時潤の流れの中では、人も同等であります。それゆえ、限りある命が人間だけの都合によって奪われることは、動物にとって不条理の極みでしょう。人はすべての生命の頂点に君臨するという錯覚を是とするならば、すべての生命に慈(いつく)しみの心を忘れてはなりません。人間は自分たちのエゴに従って行動するとき、常にその犠牲になる動物に哀悼の気持と感謝の念を忘れてはならないし、人間も生きとし生けるものの食物連鎖の一員であり、他の生命によって生かされていることを再認識しなければなりません。

研究者にとって、昨今の動物愛護運動の高まりは、さまざまな制約をもたらしています。しかし、私たちの研究成果が人類の福祉にどのように役立っているかの説明を十分に行って、世の中の理解を得ることを怠つてはなりません。そのためには、尊い動物の犠牲を最小限に抑えることが重要です。また、犠牲となった動物に報いるために、成果を最大限役立たせることに傾注しなければなりません。科学的に真実であり、人類の幸福に役立たせることが、私たちの研究によって犠牲になった動物に応える私たちの使命であると思います。

最後に、本センターにおける医学研究のために命を捧げ犠牲となられた多くの実験動物に対し、謹んで感謝と敬意の念を表します。また、我々の健康や福祉が動物たちの命の上に成り立っている事実を再認識して研究に従事していくことを誓い、慰霊の言葉と致します。

平成29年 1月 12日
東京医療センター 臨床研究センター
聴覚平衡覚研究部 部長 松永 達雄

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