・消化器内科サブスペシャルティコース(肝臓病含む)

診療科の概要

高度急性期の一般病院の特徴を生かし、短期間で効率よく他領域の内科症例を経験するとともに、多くの消化器領域の症例、手技を経験できる専門研修プログラムです。3次救急指定病院のため、特に消化管出血に対する緊急内視鏡・止血術、総胆管結石・胆管炎に対するERCPが豊富で、食道・胃・大腸早期癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、大腸ポリープに対する内視鏡的摘除術、食道静脈瘤の内視鏡的治療も数多く行っています。
消化器内科医として経験すべきcommon diseaseに関しては3年間の研修にてほぼ一通り網羅することが出来ます。各自の希望に応じて、他科研修や連携施設研修の内容、時期を決めることができます。研修終了後は慶應義塾大学を初めとした大学への入局が中心ですが、大学で研究を行う前に、当院における研修で消化器内科医として十分な臨床経験を積むことができます。

スタッフ

  • スタッフ
    • 5名(医長、常勤の合計)
  • レジデント
    • 4名
  • 診療科全体の医師数
    • 9名(男性:6名、女性:3名)
      うち専門医数:5名

専門研修プログラム名および全研修期間(うち東京医療センター以外での研修期間)

  • 消化器内科サブスペシャルティコース
    3年または4年(うち東京医療センター以外で1年間)

全研修期間のスケジュール例

  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年 呼吸器科 循環器科 膠原病科 神経内科 血液内科 腎臓内科
2年 消化器科
3年 連携施設研修

プログラムの特徴

  • 消化管、肝胆膵、内視鏡、炎症性腸疾患、がん薬物療法など各分野の専門医師による統合的な専門研修が受けられます
  • 消化器科臨床の知識、検査、治療に関して、理論と技術の両面から基礎から最先端まで研修できます
  • 臨床研究に関する研修体制も充実しており、臨床医から研究者まで、将来の可能性が広がります
  • プログラムの定員:内科全体で10名
  • 令和3年度の採用者数:1名(消化器内科の採用者)

症例数一覧(2020年実績)

疾患名 症例数 疾患名 症例数
消化管出血 514 腸炎・憩室炎 120
食道静脈瘤 16 急性肝炎 32
食道癌 48 肝硬変・肝不全 27
胃十二指腸潰瘍 34 肝細胞癌 21
胃癌 56 急性膵炎 52
腸閉塞 39 膵癌 56
大腸ポリープ 98 急性胆嚢炎、胆管炎 83
大腸癌 63 総胆管結石症 39
炎症性腸疾患 17 胆道癌 12

手技・検査・手術等一覧(2020年実績)

検査・治療 件数
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) 3134
大腸内視鏡検査 1974
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP) 208
緊急内視鏡検査(上・下部消化管、ERCP) 485
内視鏡的食道静脈瘤硬化療法・結紮術 24
消化管出血に対する内視鏡的止血術 82
消化管ブジー、消化管ステント挿入術 24
早期食道癌・胃癌、胃腺腫に対する内視鏡的粘膜下層剥離術 38
大腸ポリープ・早期癌に対する内視鏡的ポリープ・粘膜切除術 1228
大腸腺腫・早期大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術 21
カプセル内視鏡 2
超音波内視鏡(EUS) 60

学術業績一覧(2020年度実績)

  • 学会発表 13件
  • 論文(和文)2件
  • 論文(英文)8件(下記参照)

  1. Kikuchi M., Matsutani N., et al. Inter-professional and inter-departmental alcoholism rehabilitation program. Clinical and Molecular Hepatology 2020 ;26(4):626-632
  2. Tsuruya K, Chino O, et al. Successful combination of endoscopic and laparoscopic removal of multiple ingested needles: A case report. Medicine (Baltimore). 2020 ;99(8)
  3. Kinoshita S, Nishizawa T, et al. Complete closure versus simple closure for perforations during colorectal endoscopic submucosal dissection. Endosc Int Open. 2020 ;8(1): E76-E80.  
  4. Uraoka T, Yunoki S, et al. A novel temperature-responsive, biodegradable and injectable collagen sol for the endoscopic closure of colonic perforation holes: An animal study (with videos). Dig Endosc. 2020 Aug 13.
  5. Uraoka T, Yunoki S, et al. Closure of gastric perforations during endoluminal resection using a novel biodegradable collagen sol: A feasibility survival study on porcine model (with video). Dig Endosc. 2021 Feb 21.
  6. Shimozaki K, Miyanaga R, et al. The Entire Intestinal Tract Surveillance Using Capsule Endoscopy after Immune Checkpoint Inhibitor Administration:A Prospective Observational Study. Diagnostics(Basel).2021 Mar 18;11(3):543
  7. Limpias Kamiya KJ, Miyanaga R, et al. Endoscopic removal of foreign bodies: A retrospective study in Japan. World J Gastrointest Endosc. 2020 Jan 16;12(1):33-41
  8. Hirai Y, Mori H, Fujimoto A. Pseudomelanosis Duodeni Appearing After Iron Therapy. Case Rep Gastroenterol. 2021 In Press.

施設認定

  • 日本内科学会教育病院
  • 日本消化器病学会認定施設
  • 日本消化器内視鏡学会指導施設
  • 日本内科学会教育病院
  • 東京都肝臓専門医療機関指定病院都肝臓専門医療機関指定病院
  • 日本がん治療認定機構研修施設
  • 日本臨床腫瘍学会研修施設

連携施設

  • 慶應義塾大学病院

当直業務等

24時間365日緊急内視鏡オンコールを行っています。オンコールの頻度は月7-8回です。オンコール回数が多いため、内科当直は月1-2回に減免されています。緊急内視鏡で実際出動する頻度はオンコール3回に1回程度です。緊急呼び出しがなくてもオンコール担当医には待機料が支給されます。官舎、駐車場が完備されています。

週間スケジュール

 
      新入院カンファレンス
腫瘍カンファレンス
 
午前 上部消化管内視鏡検査 上部消化管内視鏡検査 上部消化管内視鏡検査 上部消化管内視鏡検査
内視鏡治療(静脈瘤治療)
上部消化管内視鏡検査
内視鏡治療(ESD)
午後 下部消化管内視鏡検査
胆膵内視鏡検査
(ERCP、EUS)
下部消化管内視鏡検査
胆膵内視鏡検査
(ERCP、EUS)
下部消化管内視鏡検査
胆膵内視鏡検査
(ERCP、EUS)
下部消化管内視鏡検査
胆膵内視鏡検査
(ERCP、EUS)
下部消化管内視鏡検査
内視鏡治療(ESD)
胆膵内視鏡検査
(ERCP、EUS)
肝胆膵カンファレンス
(外科・放射線科合同)
    症例検討会 内視鏡カンファレンス

研修修了後の進路

専門研修修了時に、日本内科学会の内科専門医修得に続き、現在の認定医制度に基づいた内科系サブスペシャルティ専門医(消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医)を取得することができます。研修終了後は慶應義塾大学を初めとした大学への入局が中心ですが、大学の関連病院などへ就職するなど、様々な進路があります。

研修中の専攻医の声

  • 3年目レジデントより
    • 私は出身大学で初期研修を修了してから東京医療センターに専修医(当院ではレジデントと呼ばれます)として就職をしました。
      振り返ってみて、その選択は正解だったと思っています。スタッフの先生方のハイレベルな診療や教育に対しての熱い思い、フットワークの軽さに刺激を受けながら日々を過ごしています。
      もともと当院は3次救急病院なのでcommon diseaseから稀な症例、緊急内視鏡が必要な急性期疾患など症例も豊富で、24時間365日緊急内視鏡オンコールも行っているため正直暇ではありません。それに加えて学術的な面においてもより積極的な指導を受けられる環境が整い、より充実したレジデント生活を送れると思います。「よく働きよく遊べ」をモットーに計4名のレジデントで忙しいながらに楽しい毎日を送っています。
      皆さんもぜひ一度見学にいらしてみてください。そしてもしよければ一緒に充実したレジデント生活を送りませんか?

指導医の声

私は慶應義塾大学医学部の消化器内科に所属し、内視鏡センターのスタッフとして5年間勤務しておりましたが、令和3年4月より当院の医長として赴任しました。以前は同大学院に進学し、基礎研究に邁進していましたが、スタッフとして赴任してからは胆膵内視鏡を中心とした内視鏡業務に従事しておりました。大学病院としての需要は非常に多く、特に胆膵内視鏡は年間1300件程度にまで登りました。高度医療機関として求められる専門的かつ高度な内視鏡診療は非常に有意義な経験となりましたが、医師としての志を見直す中で、消化器内科医としてより消化器全般の治療に携わりたいと考えるようになったのが、大きなきっかけです。

当院の最大の特徴は大学病院に匹敵する病床数をもつ病院であり、目黒区や世田谷区といった大きな医療圏の基幹病院であることです。それ故に、消化器科が担う需要は多く、経験する症例数も非常に豊富です。言い方を変えれば、「忙しく」働くことにはなりますが、経験すべき消化器疾患は研修期間中にほぼ一通り網羅することができ、消化器内科医に必要な診察力、診断・治療としての内視鏡や画像読影能力などを習得できるチャンスがあるということです。消化器という分野は、消化管だけでも食道・胃・十二指腸・小腸・大腸と分かれ、これに肝臓や胆道、膵臓が加わり、さらには炎症性疾患をはじめとした良性疾患もあれば、悪性腫瘍もあるなど、非常に広範で多彩な領域です。実臨床で腹部の症状や食欲の変化などを主訴に訪れる方は多く、当院で培われる経験、技量をもとにこれらの診断と治療に携われることは、これ以上ないやりがいだと思います。

一方、私を含めて大学病院で基礎研究、臨床研究に携わってきたスタッフが多く、それぞれの専門性が異なるため、消化器疾患の一般的な内容はもちろん、専門的な内容については各々が補い、指導することで、医学という側面でよりacademicな教育に繋がっています。私は胆膵内視鏡を専門としているため、ERCPやEUSでの観察、EUS-FNAによる診断と治療は格段に増えていますし、内視鏡診断とESDを中心とした治療のスペシャリストの治療と指導を目の当たりにできたり、炎症性腸疾患を深く診療してきたスタッフとも診断と治療を深くdiscussionできます。また臨床腫瘍科とも連携し、腫瘍についても手厚い指導を受けられます。日々の経験した症例をもとに、スタッフと吟味し、学会発表や論文に投稿する機会も多いことも、以前からの当科の特徴と言えます。

消化器科をみんなで高めあいながら、目の前の患者さん一人一人の力添えとなり、そして地域の診療として貢献できればというのが、科の率いる上でのモットーです。多くの患者さんが、先生達の力を待っています。消化器内科全般に強くなりたい!学術活動を行いながらも消化器内科としての臨床能力を高めたい!内視鏡が上手くなりたい!という先生方の研修参加を心よりお待ちしております。

病院見学について

研修ご希望の方は是非見学に来られて下さい。

後期研修(専門研修)

当科では、各方面に臨床スキルをもつスタッフが専門性の高い指導を行います。消化器分野は幅広いため、お互いの知識を補い合い、日々切磋琢磨しています。専門医としての立場を重視しながらも内科医としての基本を忘れず、他科、他職種とも連携をとりあったチーム医療を心がけています。当院は第3次救急指定病院の指定を受けていることから、目黒・世田谷・渋谷区の中核病院として、胃・十二指腸潰瘍、食道・胃静脈瘤などの消化管出血や急性胆管炎など救急疾患に対する対応も行っております。症例は豊富であり、都内にいながらも多くの臨床経験が積め、充実した研修生活が送れることを約束します。  尚、当院は、日本消化器病学会認定施設、日本肝臓学会認定施設、日本消化器内視鏡学会認定施設としての機能を果たし、専攻医のサブスペシャリティ領域における教育や育成にも全力で取り組んでいます。  是非、自身のスキルアップに当院での研修をご検討下さい。ご相談や見学をお待ちしています。

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