文字サイズ

PET検査

PET検査とは?

PETとは、Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)の略で、放射能を含む薬剤(放射性医薬品)を用いる、核医学検査の一種です。放射性医薬品を体内に投与し、その分布を特殊なカメラでとらえて画像にします。PET検査では、ほぼ全身を一度に調べることが出来ます。通常がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用されています。
また、アルツハイマー病やてんかん、心サルコイドーシスといった病気の診断にも用いられます。下記の病気で、この検査が必要とされる条件を満たす場合には、健康保険が適用されます。

  • てんかん(外科治療前)
  • 虚血性心疾患
  • 心サルコイドーシス
  • 早期胃がんを除く全ての悪性腫瘍・悪性リンパ腫
  • 大型血管炎
  • アルツハイマー型認知症

PET/CT検査とは?

PETとCTを融合させた画像を同時に撮影する検査です。装置もPETとCTが一体型となっており、一度の撮影で両方の画像を得ることができます。

PETとCTを組み合わせることにより、病変の位置とその範囲がより正確に判別でき、診断能が向上します。

18F-FDG PET/CT検査とは?

この検査は、18F-FDGという放射性医薬品を体内に注射してPET/CT装置で撮影する検査です。
18F-FDGはブドウ糖にフッ素(18F)という微量の放射線放出物質をくっつけた医薬品です。18F-FDGを注射すると、がん細胞は正常細胞の何倍もの量のブドウ糖を取り込むため、がん細胞が18F-FDGをたくさん取り込みます。この様子を、PET/CT装置で撮影していきます。

がん細胞の位置や大きさ・進行度を見ることができます。

検査を受ける際の注意点

 検査の5時間以上前から絶食してください。糖分の入ったジュースやスポーツドリンク等の飲料水も禁止です。水または無糖のお茶をお飲みください。体を動かすと、使った筋肉が18F-FDGを取り込んでしまうため、注射から撮影までは安静にしてください。
また、前日の激しい運動も筋肉が18F-FDGを取り込む原因となります。お控えください。
余分な18F-FDGは尿として体外へ排出されます。検査後は多めの飲水をオススメします。

18F-FDG PET/CT検査の流れ

検査前日の激しい運動は控えましょう!!!

当院のPET/CT装置

<GEヘルスケア:Discovery IQ>
<GEヘルスケア:Discovery IQ>

18F-FDG PET/CT検査画像のご紹介

18F-FDG PET/CT検査 Q&A

Q: なぜ検査前から絶食が必要なのでしょうか?
A: この検査は、がん細胞が大量の18F-FDGを取り込む性質を利用した検査です。
そのため、検査前に食べ物や糖分入りの飲み物を摂取すると、がん細胞が満腹状態になり、18F-FDGの取り込みが悪くなります。その結果、正確な情報が得にくくなります。

Q: 閉所恐怖症ですが、検査は可能ですか?
A: PET/CT装置はドーム状の機械で、検査中はその中を通過しながら撮影をしていきます。予め主治医に、ご相談ください。

Q: 糖尿病でも検査は受けられますか?
A: 糖尿病など血糖値が高い場合、18F-FDGが筋肉や脂肪へ集積しやすい傾向にあるため、がんへの18F-FDGの取り込みが低下します。そのため、診断精度が下がる場合があります。PET/CT検査が実施できるかどうかは、事前に主治医とご相談ください。

Q: 妊娠中や妊娠の可能性がある場合でも、検査は受けられますか?
A:検査で使用する18F-FDGは、放射性医薬品で微量の放射性物質を含んでいるため、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、原則として検査が受けられません。
必ず主治医にお申し出ください。

Q: 被ばくが心配です。大丈夫ですか?
A: 18F-FDGからの被ばく線量は、約2から5mSv(ミリシーベルト)で、胃のバリウム検査と同等です。さらにCTによる被ばくが加わり約15mSvになります。
この線量で放射線障害が起こることはありません。

18F-FDG PET/CT検査 Q&A

放射線被ばくは少ないに越した事はありませんが、PET-CT検査により得られる診療情報は非常に精度が高く、病気の状態を正しく診断できます。また全身を一度に調べることができ、最適な治療方針を決めるのに有用な検査です。 

Q: PET/CT検査はどんな種類のがんでも見つけられるのですか?
A:臓器や部位によっては、発見しにくいがんもあります。例えば、18F-FDGは尿中へ排泄されるため、腎臓や膀胱などのがんは発見しにくい場合があります。
また、顕微鏡レベルの微小ながんや、進行の度合い、細胞の種類などでも発見しにくい場合があります。

アルツハイマー型認知症の検査

当院は「アミロイドPET撮像認証」取得施設です。
検査には専門医による診断が必要となりますので、どなたでも受けられる検査ではないことをご理解ください。

アルツハイマー型認知症とは

認知症にはいくつかの種類がありますが、最も割合が多いとされているのが、「アルツハイマー型認知症」です。認知症の6割以上を占めていると言われています。
認知症の原因には「アミロイドβ」と呼ばれる異常タンパク質が、脳に長い時間かけて蓄積することが発症に関与しています。蓄積したアミロイドβにより神経細胞に障害をきたし、最終的には脳委縮が生じます。これにより、認知機能の障害が進行していきます。

アミロイドPET検査とは?

脳内のアミロイドβ蓄積の有無や程度を調べる検査です。アミロイドβと結合する性質をもった放射性医薬品を注射し、蓄積の程度を可視化します。かなり早い時期から異常を検出できるため、早期発見・早期治療が可能となります。早期に治療を開始することで、認知症の進行を遅らせることが期待されます。
この検査では検査前の絶食は必要ありません!

アミロイドPET検査画像のご紹介

アミロイドPET検査画像のご紹介

陽性像では脳の皮質にアミロイド製剤が集積していることが分かります。これはアミロイドβの脳内沈着を示す所見です。アルツハイマー型認知症の治療には、脳内に蓄積する異常タンパク質(アミロイドβ)を除去し、認知機能低下の進行を遅らせる点滴治療薬があります。この治療を行うには、アミロイドPET結果が陽性である必要があり、治療方針を決める重要な検査の1つです。

SNMMI:SOCIETY OF NUCLEAR MEDICINE & MOLECULAR IMAGING
JNM :The Journal of Nuclear Medicine
よりアミロイドPET画像を引用しました。
https://jnm.snmjournals.org/content/60/2/285

expand_less