血管造影検査

Azurion B20/15(PHILIPS社製)2019年10月更新
Azurion B20/15(PHILIPS社製)2019年10月更新

血管造影検査(アンギオグラフィ)とは

血管にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、カテーテルから造影剤を注入して目的部位の血管を描出する検査です。
カテーテルを目的部位の近くまで進めることにより、詳細な血管像を得ることが可能となります。また、カテーテルを血管内に挿入する際には、皮膚への小さな切開で済むため、外科的手術のように皮膚を大きく切開する場合に比べて、身体への負担も少なく済ませることができます。
今回、導入した装置は正面20インチおよび側面15インチの高性能フラットディテクタ(検出器)を搭載した装置で2方向同時撮影により、造影剤使用量を抑え、造影剤による副作用のリスク軽減と検査時間の短縮することも可能となりました。
脳神経外科、心臓血管外科、放射線科などの領域毎に合わせて設定されたパラメータにより、被ばくの低減と高画質を両立できるようになっています。
また、Xper CTという機能を備え、CT装置で撮影したような画像を得ることが可能です。検査中にCT室への移動をすることがなく、3D画像情報がスピーディーに得られます。更に、血管撮影装置の透視画像と事前に撮影してあるCT・MRIなどの血管画像を重ね合わせて検査を行えるため、安全かつスムーズに検査を行うことができる装置となっています。
今回の新しい装置導入によって、より一層安全な血管造影検査が行え、精度の高い診療に役立つ情報を提供できるようになります。

血管造影検査(アンギオグラフィ)の種類

脳血管造影検査

脳の血管の状態を詳しく観察する検査です。脳への外科的手術の前に詳細な血管情報を得る時や、クモ膜下出血などの出血部位の検索に用いられます。
また、以前に外科的手術や脳血管内の治療を行った ことがある場合などの経過観察にも用いられる事が あります。

右内頚動脈造影

体幹部(胸部・腹部・骨盤部)血管造影検査

体幹部の各臓器の血管の状態を詳しく観察する検査です。
各臓器への外科的手術の前に詳細な血管情 報を得る時や、体内で出血している場所の検索に用 いられます。

腹腔動脈造影

血管造影を利用して、治療を行うものについて

血管形成術

血管が細くなって流れが悪くなっている場所や、血栓(血液の塊)が詰まって流れなくなっている場所までカテーテルを進めて、血管の中から押し広げたり、血栓を溶かしたりすることで、本来の血液の流れに戻す治療です。血管内に挿入されたカテーテルからバルーン(小さな風船)やステント(血管を押し広げるためのトンネルのようなもの)を用いて血管を押し広げたり、カテーテルから血栓を溶かす働きのある薬剤を流して血栓を溶かしたりして行います。

血管塞栓術

血管に塞栓物質注入することで、血液の流れを止める治療です。おもに体の中で出血している場合に行われます。体内で出血している場合には体表面で出血している時の様に圧迫して止血することが困難なため、出血を起こしている血管までカテーテルを進めていき、塞栓物質を注入することで止血を図る治療です。
また、悪性腫瘍の治療のひとつとして、腫瘍に血液を運んでいる血管を塞ぐことによって悪性腫瘍を壊死させることを目的とした治療にも応用されています。

検査の流れについて

検査前

  • 検査の前日までにご入院していただきます。
  • 検査当日の朝食は原則として禁食となります。また、飲み物に関してはお飲みいただいて構いません。
  • 血管造影室へ向かう前に、病室にてカテーテルを挿入する部位を清潔にするため剃毛することがあります。
  • 検査が予定よりも長引くことも予想されるため、お小水の管を挿入することがあります。

検査中

  • 患者さんには血管造影装置の寝台の上で横になっていただきます。
  • カテーテルを挿入するために、皮膚の消毒を行った後に局所麻酔の注射を行います。若干の痛みがありますが、以後の検査中にはほとんど痛みを伴いません。また、局所麻酔ですので意識ははっきりした状態で検査がすすんでいきます。
  • 検査中は基本的にリラックスしていただいて、動かないように横になっていただくだけで検査が進んでいきます。また、撮影部位によっては撮影の時に呼吸を止めていただくことが有りますが、その際には医師や放射線技師から合図がありますので、それに合わせて呼吸を止めていただくことになります。ほとんどの場合、十数秒の息止めとなりますので、緊張せずにリラックスして行っていただいて結構です。
  • 検査時間については、検査の内容や、治療の有無によって違いは有ります。 検査のみの場合では1~3時間程度ですが、治療を行うときには内容によって長くなる場合も有ります。

検査後

  • 検査終了後には血管からカテーテルを抜きます。カテーテルが挿入されていた場所からの出血を防ぐために、10分ほど医師が圧迫止血を行います。
  • 圧迫止血が終わると、挿入部の再出血を防ぐために、圧迫固定を行った状態で病室に戻っていただきます。検査終了後4~5時間までは、挿入部を動かしたりすると再出血の恐れがありますので、病室のベッド上にて寝たままとなります。
  • 検査終了から4~5時間が経過すると、ベッド上で少しだけ体を起こしたりはできますが、原則として、翌日までの一晩はベッド上にて安静にしていただくことになります。
  • ​検査終了後の食事に関しては、通常通りとって頂いて結構です。
  • ベッド上にて寝たままでの食事と排泄になりますので、ご不便をおかけしますが、ご了承ください。
  • 検査翌日に挿入部位の出血がないことを確認した後に、通常通りの生活に戻っていただくようになります。

※ 検査前には、医師から十分な説明があります。 ご不明な点や、お気にかかる点がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。
※ 検査中に気分が悪くなったり、体が辛くなったり、不安なことがございましたら、 声に出してお話ください。必ず近くに医師、看護師、放射線技師がおりますので、安心して検査をお受けください。

造影剤による副作用について

血管造影検査では、検査・治療を問わず、造影剤というエックス線画像に写りやすくなる薬剤を使用します。
造影剤を使用する時には副作用が起こる場合があります。吐き気や、発赤、蕁麻疹などや、重篤な場合はショックなどを起こします。アレルギー体質方や、喘息の方、薬で副作用がおきたことがある方は副作用が起こりやすく、その日の体調によっても変化します。
検査中に、すぐに副作用が起こるのがほとんどですが、まれに数時間後、数日後に症状が出る場合があります。その時は、医師に連絡をしてください。
過去に造影剤を使用した検査で副作用があったという方、喘息やアレルギーをもっている方は副作用が起こる確率が高いといわれています。検査前に、必ず担当の医師・技師にお伝えください。

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