先端医療の紹介

先進的な放射線治療

子宮頸癌・体癌の最新治療とは

子宮頚癌では手術と同様、放射線治療が標準治療です。当院では外照射に強度変調放射線療法(IMRT) を用い、腸や膀胱の被ばくを最小限に抑えています。 外照射後にはMRIとCTを用いた画像誘導による小線源治療を麻酔下に行い、縮小した癌病巣にとどめをさします。この手法は海外では標準的になってきましたが、手間がかかることもあり、国内ではまだ当施設でしか行われていないようです。効果は大変優れ、副作用を最小限に抑えることが証明されています。体癌でも手術をしない場合には同様の治療を行っています。

高精度放射線治療が乳房温存療法にも

最新の照射装置には、呼吸の動きを監視し治療に最適な呼吸タイミングで照射できる機能に加え、単位時間当たりの照射線量が従来の約3倍となり非常に短時間でピンポイント照射を行う機能があります。光学的患者ポジショングシステムは、高解像度カメラを使用して被ばくも侵襲もなく患者皮膚表面を追尾し、正確な位置合わせ(体表面誘導放射線治療)ができます。照射中もリアルタイムに動きを監視し、許容誤差を超えた動きを検知した場合には自動的に照射が一時停止されます。当院では、まず乳腺の放射線治療から開始、他の部位にも使用予定です。左側乳房では息止めなどの呼吸調整により心臓や肺への被ばくを低下させることに成功しました。

前立腺癌の小線源治療 vs. 定位照射

当院では国内で初めてヨウ素125による小線源治療を開始し、世界でもトップレベルの症例数です。高悪性度の前立腺癌に対しては回転型IMRTの技術を小線源に上手に併用し、良好な成績を国内外で報告しています。近年は直腸と前立腺の間にゲルを注入し、直腸の線量を抑え、毒性を激減しました。5回で終了する定位照射も始めており、手術をせずに安楽に治る手段が勢揃いました。IMRT後の局所再発に対しての救済小線源治療にも取り組んでいます。また、少数のリンパ節 や骨転移に対しては、男性ホルモンを抑制するだけでなく、ピンポイントで転移巣を狙い撃ちできるようになりました。他の癌からの転移にも応用しています。

切らずに治す早期乳がん治療法の開発

はじめに

乳がん検診受診率の向上と画像診断法の進歩に伴い、早期乳がんの発見数が急激に増加してきています。 江戸時代に華岡青洲先生が、世界で初めて全身麻酔下で乳がん摘出手術を行いましたが、今でもこの時と同じような手術器具を用い、切ることによって治療が行われています。より小さな乳房のしこりで発見されることが増えた21世紀には乳房を切らずに、短時間で身体に影響が少ない治療法開発を実現することを目的として、研究を開始いたしました。

ラジオ波治療の原理と方法

AMラジオの周波数に近い医療用高周波電流をがん組織の中に通電させることによって、組織を焼灼します。この治療は肝臓がん治療では既に承認済みで、多くの患者さんたちを治している医療技術です。

方法

1.超⾳波ガイド下に電極針で腫瘍を貫きます。
1.超⾳波ガイド下に電極針で腫瘍を貫きます。
2.電極針から通電して腫瘍を凝固壊死に至らせます。
2.電極針から通電して腫瘍を凝固壊死に至らせます。
3.腫瘍が完全壊死に至ったら、針を抜いてカットバンを貼ってお終いです。<br/>治療は5-8分ほどで終わります。
3.腫瘍が完全壊死に至ったら、針を抜いてカットバンを貼ってお終いです。
治療は5-8分ほどで終わります。

ラジオ波熱焼灼療法(RFA)の効果と適応

初期の研究で、乳房では1回の焼灼で3cm範囲の組織を死滅させることが明らかになりました。早期乳がん(大きさ2cm以下)で単発かつ限局していることが、治療の適応条件となります。この治療法は切除をしないため、傷が針穴のみで乳房の変形も最小限で留まり、患者さんの身体に優しく、より高い満足感と安心感をもたらすことが期待されます。

予測される副作用と不利益

RFA治療は熱でがん細胞を死滅させるため、皮膚の熱傷や治療した部分に固いしこりが残る可能性があります。また、がんの僅かな焼き残しが分からないため乳房内再発が増えないことも確認する必要があります。

これまでの臨床試験の概要

今日の標準的外科治療である乳房温存療法では、放射線治療を組み合わせても、術後5年間で5-6%程度の頻度で、同側乳房内に再発することが分かっています。先進医療Bで実施した先行研究では、RFAが乳房温存療法に劣らない治療効果、安全性と患者さんへより高い整容性と満足感が提供できるかどうかを確認することを目的としています。この研究は目標症例数である372例に到達いたしました。現在は5年間の経過観察中ですが、今のところ大きな副作用は報告されておりません。この試験の結果で保険収載を目指しております。

新しい臨床試験

先進医療Bで実施した「早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法」の臨床試験が2017年11月に終了してしまいましたが、その後も乳がん患者さんからラジオ波熱焼灼療法を受けたいとの要望が途絶えませんでした。これに応えるため「患者申出療養」制度で、早期乳がんへラジオ波熱焼灼療法を実施することが2019年3月に承認されました。東京医療センター乳腺科で実施しておりますので、担当医へご相談下さい。

相談窓口 (患者さん用) がん相談支援センター
(電話) 03-3411-0111 (受付時間) 9:00-17:00

*患者申出療養とは:患者申出療養は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近 な医療機関で迅速に受けられるようにするものです。保険診療との併用が認められています。

抗がん剤の脱毛を抑制する頭皮冷却装置

はじめに

がんの治療において、化学療法はがん細胞の増殖を抑える重要な治療であり、多くの患者さんに行われています。 化学療法は高い治療効果が期待できる反面、副作用が生じますが、ある種類の化学療法では脱毛を起こすことが知られています。 特定の化学療法の開始後、約2週間までに多くの患者さんに脱毛が起こります。 当院は、化学療法の副作用である脱毛を抑制するために開発された医療機器をいち早く導入し、患者さんに使用しております。

頭皮冷却を行う装置と原理

当院で使用している専用の医療機器は海外で広く使われており全世界で3,500台以上の装置が設置されています。製造元の英国では97%の医療機関で約1,000台が使用されており、35か国以上で使われています。患者さんには専用のキャップを被っていただいて その内部に―4℃に冷却した液を還流させます。頭皮冷却を行うと毛母細胞への血流をおさえることができ、脱毛抑制が可能になります。

頭皮冷却の効果と適応

今回、薬事承認された医療機器は米国における乳がんの患者さんを対象とした無作為比較試験の結果、約半数の患者さんに脱毛を抑制する効果が得られました(約半数の患者において50%以上の頭髪が残りました)。

日本における頭皮冷却

日本でも乳がんの患者さんを対象とした臨床試験を行った結果、頭皮冷却を行うことにより患者さんの脱毛を抑制する効果があることが確認されました。現在は、乳がんに限らず全ての固形癌が適応となり、幅広い患者さんに使用していただくことができます。

頭皮冷却の実際

頭皮冷却を行う際は専用のキャップを装着した状態で、化学療法を施行します。抗がん剤投与を行う前の30分、投与中と投与後90分間、連続して頭皮を冷却します。キャップを頭皮に密着させることにより、脱毛を抑制する高い効果が得られますのでグレーの キャップカバーと黒い顎のストラップで強く固定をします。キャップ固定時のストラップによる顎の痛み、頭皮の冷却による頭痛、不快感が生じますが、これらの症状は一時的なものです。当院で使用しているキャップは、私が臨床試験に従事し、日本人の頭部を測定した数値をもとに製品化されました。今までのキャップで患者さんが感じておられた不快感が少しでも軽減することにつながると期待します。

当院での運用

化学療法による脱毛を抑制するための頭皮冷却は、保険収載されておりませんので、「医療サービス」として行うことが認められております(別途費用が発生)。化学療法と一緒に行っても混合診療にはなりません。頭皮冷却が普及し、多くのがん患者さんの容姿に関する苦痛を少しでも軽減できるよう、私達は支援して参ります。

相談窓口 (患者さん用) がん相談支援センター
(電話) 03-3411-0111 (受付時間) 9:00-17:00

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