心大血管リハビリテーション

心大血管リハビリについて

心大血管リハビリ(心リハ)は心不全、急性心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、閉塞性動脈硬化症と心臓外科手術後の患者さんが保険適応となっています。運動療法の効果として、運動耐容能を増加し、QOL (Quality of Life)を改善させることがよく知られています。運動を継続することで急性心筋梗塞など冠動脈疾患では予後を改善し、心不全例では心不全による再入院を減らします。

心リハでの運動療法は歩行訓練とエルゴメーターを用いた持久運動が中心となります。運動強度としては、ややつらいと感じる中等度以下の有酸素運動が処方され、心血管疾患の方でも運動強度に注意すれば安全に運動が行えます。

当院での心リハ

東京医療センターでは2006年12月より心リハを開始し、現在年間500人近い方が心リハを受けています。心血管・不整脈センターに入院されますと、自宅退院に向けて筋力低下の予防と運動耐容能の改善のために早期に心リハが開始され、病棟での歩行訓練からリハビリ室でのエルゴメーター運動を行います。

心リハ指導士が運動処方を決め、理学療法士3名と看護師2名で心リハを行いますが、区西南部で心リハ指導士のもとに心リハを行う施設は当院を含めた2施設のみであり、さらに早期回復・退院をめざして全国先駆けで休日リハビリを開始しました。

ベッドサイドでのリハビリでは心電図モニター装着、血圧測定した後に、立位、歩行訓練を行い、心臓外科術後でも手術1~2日後には歩行訓練が開始となります。リハビリが進むと、リハビリ室でエルゴメーターを用いた持久運動を行います。予後改善の点では退院後も運動を継続されることが大切であり、入院中の心リハが運動習慣のきっかけになればと思います。

当院の心リハプログラム

心大血管リハビリテーションプログラム

S : 合併症の無いAMI、A : 他のAMI・心不全、B : 心臓外科・歩行障害例

心リハの適応

「急性心筋梗塞」 「狭心症」 「慢性心不全(LVEF<40%又はBNP>80pg/mL)」
「大動脈解離」  「心臓外科術後」

プログラム進行中止基準

  1. 自覚症状 : 胸痛、動悸、めまい、ふらつき、RPE15以上
  2. 血 圧  : 血圧30mmHg以上↑ 10mgHg以上↓、 収縮期血圧180mmHg以上又は90mmHg以下
  3. 心拍数  : 安静時110/min以上、運動時120/min以上
  4. 心電図  : ST⇩1mm以上、ST⇧2mm以上 重症不整脈の出現

Sコースの適応条件

  1. ポンプ失調がない(Killip1型)
  2. 発症後2日以内に狭心症発作ないし著明なST変化が無い
  3. VF、AF発作が無い
  4. LVEF>40%
  5. 広範前壁でない
  6. maxCK<300mIU/mL以下
  7. 歩行障害(脳卒中、整形がか疾患等)が無い

♢歩行障害例は運動量と共に歩行速度を参考とする

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