臨床研究・治験
治験について
病気を治す・予防する新薬が病院で投与できるようになるには、動物実験などの基礎研究で始まり、健康な人を対象とした第I相試験で薬の吸収、代謝や排泄などを調べます。次に少人数の患者さんを対象とした第II相試験で病気に対する有効性と安全性を調べ、最後に多数の患者さんを対象とした第III相試験で有効性と安全性を確認して、新薬として厚生労働省から承認が得られます。一般病院である当院では主に第III相試験が行われています。
国立病院機構の基幹病院として当院は治験に積極的に取り組んでおり、治験の参加条件に合う方には治験への参加をお願いすることがあります。その際は担当医師だけでなく、治験専門の薬剤師・看護師・臨床検査技師の治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)が治験について十分説明するとともに、安心して参加できるようにサポートしています。当院の臨床研究・治験推進室には薬剤師3名、看護師4名、臨床検査技師1名がCRCとして勤務しています。
心血管・不整脈センターでの治験
心疾患は我が国の死亡原因では癌に次ぐ2位であり、心疾患を治す・予防する新薬の更なる開発が待たれています。心血管・不整脈センター長は臨床研究・治験推進室長を併任し、心血管・不整脈センターでは心不全、心筋梗塞や狭心症を対象とした治験を数多く行い、近年は心房細動を対象とした治験も行っています。多くの患者さんにご協力・参加いただきましたが、治験薬が承認された時はその喜びと達成感を共有しています。
循環器内科領域の治験の実施率一覧は下記をご覧下さい。
循環器内科領域の治験実施率一覧
治験対象疾患 | 契約年度 | 開発相 | 国際治験 | 契約例数 | 実施例数 | 実施率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
静脈血栓症 | 2008 | III | ○ | 8 | 5 | 63% | 登録終了 |
急性冠症候群 | 2009 | III | ○ | 6+4 | 7 | 70% | 治験中止 |
心不全 | 2009 | III | 6 | 2 | 33% | 治験中止 | |
急性冠症候群 | 2010 | III | 8 | 6 | 75% | 登録終了 | |
糖尿病を有する急性冠症候群 | 2010 | III | ○ | 5 | 3 | 60% | 登録終了 |
心不全 | 2011 | IV | 4+6 | 10 | 100% | 登録終了 | |
心筋梗塞 | 2011 | III | ○ | 8+2+2 | 12 | 100% | 登録終了 |
肺塞栓症 | 2012 | III | 1+1 | 2 | 100% | 登録終了 | |
下肢静脈血栓症 | 2012 | III | 2 | 1 | 50% | 登録終了 | |
冠動脈疾患 | 2012 | III | ○ | 4+8 | 12 | 100% | 登録終了 |
肺塞栓・下肢静脈血栓症 | 2013 | III | 1+1 | 2 | 100% | 登録終了 | |
左室機能低下のある心不全 | 2013 | II | ○ | 6 | 3 | 50% | 登録終了 |
左室機能低下のない心不全 | 2013 | II | ○ | 3 | 2 | 67% | 登録終了 |
心房細動 | 2013 | I | 2 | 1 | 50% | 登録終了 | |
冠動脈疾患のある心不全 | 2014 | III | ○ | 5 | 4 | 80% | 登録終了 |
左室機能低下のある心不全 | 2016 | II | 2 | 2 | 100% | 登録終了 | |
心不全 | 2016 | III | 2 | 0 | 0% | 登録終了 | |
高齢者の心房細動 | 2016 | III | 4+2 | 5 | 100% | 実施中 | |
左室機能低下のある心不全 | 2017 | III | ○ | 3+2 | 3 | 100% | 実施中 |
左室機能低下のある心不全 | 2017 | III | ○ | 6 | 3 | 50% | 登録終了 |
心不全(入院治療) | 2017 | II | 2 | 2 | 100% | 登録終了 | |
左室機能低下のある心不全 | 2017 | III | ○ | 4 | 1 | 25% | 登録終了 |
左室機能低下のある心不全 | 2017 | III | ○ | 2 | 2 | 100% | 登録終了 |
心不全(入院治療) | 2018 | III | 6 | 2 | 33% | 実施中 | |
左室機能低下のない心不全 | 2019 | III | ○ | 2 | 1 | 50% | 実施中 |