腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤)

腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤)

女性の骨盤底が分娩や加齢、閉経によるホルモンバランスの変化により弱くなることにより腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱が生じます。当科では投薬や骨盤底筋運動などの保存的治療で改善しない腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱に対してポリプロピレンメッシュを用いた手術を行なっています。

1) 腹圧性尿失禁に対する手術

経閉鎖孔式テープ(TOT)とTVT (tension-free vaginal Tape)手術

腟前壁に2cmほどの切開を加え膀胱頸部周囲を剥離してポリプロピレンメッシュのテープを閉鎖孔(TOT)もしくは恥骨上(TVT)に引き出す手術です。 治療効果と合併症のバランスを考慮してTOTを第一選択にしています。

2) 骨盤臓器脱に対する手術

Tension-free vaginal mesh (TVM手術)

膀胱や直腸が膣に飛び出すヘルニア状態を膀胱瘤や直腸瘤と呼びます。

Tension-free vaginal mesh (TVM手術)

TVM手術は膀胱や直腸が飛び出す穴をポリプロピレンのメッシュで塞ぐ手術です。 また、子宮口をメッシュに縫い付ける事により子宮脱も治します。 このメッシュを固定するテープ引き出すために足の付け根に6-8箇所の小さな切開を加えます。 このため手術直後は座ると痛むことがあります。他に術後に見られる合併症としては一過性の排尿障害、子宮脱再発(3%)、メッシュの露出(5%)です。 米国のFDAから経膣メッシュ手術に対する警告が出されておりますが、日本での実績は良好であり、これまで当院でのTVM手術でも大きな合併症が生じたことはありません。 手術前まで控えていた外出や運動を術後は気にせずできるようになり、生活の質が改善することが期待できます。

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