痛みや腫れを改善 進化する関節リウマチ治療
関節リウマチは、本来外敵から体を守る「免疫系」が、誤って自分自身の関節を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つです。代表的な初期症状には、朝の手足のこわばり、関節の腫れや痛み、微熱や倦怠感などがあります。こうした症状が続く場合は速やかに医療機関を受診し、早期発見と早期治療に繋げることが、健やかな日常生活を守るために極めて大切です。
多数の関節の痛みや腫れをきたす全身疾患染
国内の関節リウマチの患者数は約70〜100万人と推定されており、決して珍しい病気ではありません。患者の8割を女性が占め、発症年齢は全世代にわたりますが、近年は特に高齢者の発症頻度が高まっています。発症には白血球表面抗原などの免疫関連遺伝子の個人差や喫煙習慣が深く関わっていると考えられています。
主な初期症状は、起床時に手指などが動かしにくくなる「朝のこわばり」、特に指の第2・3関節(指の付け根に近い関節)や手首に多く見られる「関節の腫れや痛み」、関節症状の前、あるいは同時に現れる「微熱と倦怠感」です。
また、関節以外にも肺、胸膜、眼、皮膚、リンパ節などに病変が現れるほか、他の自己免疫疾患を併発しやすいという特徴があります。関節リウマチは「全身疾患」として捉える必要があるため、主に内科(リウマチ膠原病内科)で診療が行われます。
受診のタイミングと診断の進め方
「朝のこわばり」が15〜30分程度続く、手足の指、肩、肘、膝、足首、足の甲などの「関節の腫れや痛み」が3週間以上続く、風邪症状がないのに「微熱と倦怠感」が3週間以上続く場合などは、関節リウマチの初期症状の可能性があるため、医療機関の受診を検討してください。
初診外来では、関節リウマチの可能性を念頭に置き、病状の経過を詳しく伺います。その上で、関節を中心とした身体診察、血液検査、画像検査などを実施します。
診断にあたっては、他の関節炎をきたす疾患(変形性関節炎など)を除外した上で、腫れや押して痛みのある関節の部位や数、関節リウマチと関連する体質(自己抗体検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体))の有無や程度、炎症反応の強さ、症状の持続期間などの項目を総合的に評価し、診断を行います。
関節リウマチに特有の変化は、発症早期では、レントゲン検査で捉えることが困難な場合があります。当科では超音波(エコー)診断装置を用いて、関節の腫れの原因となる「滑膜炎(かつまくえん)」の評価を積極的に行っています。早期の段階での診断は、典型例や進行例と比べて専門的な知見を要するため、経験豊富な専門医による診察をお勧めします。
「寛解」を目指す関節リウマチ治療
診断がつくと次は治療のステップへと進みます。かつて治療法が十分でなかった時代は、関節の痛みや腫れのために、日常生活や社会生活が著しく制限されていました。関節変形が進み、最終的には寝たきり状態や寿命の短縮も余儀なくされることも少なくありませんでした。しかし、現在は薬物療法が飛躍的に進歩し、関節の痛みや腫れがほとんどない状態である「寛解(かんかい)」を維持することが現実的な治療目標となっています。国内の関節リウマチ専門施設において、早期に適切な治療を開始した場合、半数以上の方が速やかに寛解に至っています。
病気の早期の段階で適切な治療を行い、関節の炎症をしっかりと抑えることが、将来にわたって健康な生活を守るために最も重要なポイントです。
患者さんと共に考え、進める薬物療法
関節リウマチの治療は、炎症を抑える「抗リウマチ薬」を用いて行います。一般的には、まず「メトトレキサート」に代表される従来型の飲み薬から開始し、その効果を慎重に見極めます。もし、これらの薬で十分な効果が得られないと判断した場合には、炎症の原因物質を直接標的とする「生物学的製剤(点滴や皮下注射)」の導入を検討します。さらに、それでも改善が不十分な場合は、別の生物学的製剤への変更や複数の炎症経路に作用する新しい飲み薬「JAK(ジャック)阻害薬」など、次のステップへと治療を進めていきます。
数多くの選択肢の中から、患者さん一人ひとりの病状に合わせて「最適な薬や服用量」を決めること、副作用に迅速に対処をすること、そして、寛解が一定期間続いた後に「薬の減量や中止」を検討したり、もし再燃(症状が悪化)をした際に速やかに次の手を打つこと。こうした高度な判断を日常的に行っているのが、リウマチ膠原病内科の専門医です。最新の知見と豊富な経験に基づき、病状をわかりやすく丁寧にご説明しつつ、納得のいく最適な治療を共に進めてまいります。
多職種・地域連携によるチーム医療の提供
当科では、総合病院としての特色を最大限に活かし、さまざまな診療科や部門と緊密に協力したチーム医療を提供しています。看護師や薬剤師による自己注射指導をはじめ、運動・作業療法などのリハビリテーション、関節変形に対する機能再建手術、さらには関節外合併症への対応など、適時適切な治療が可能です。
また、地域の基幹施設として広範な医療連携を推進しています。地域の診療所とは生活習慣病の管理や感染症予防で協力し、リウマチ専門診療所とは重症・救急症例の受け入れや安定期の逆紹介を通して連携しています。さらに、専門病院とは、挙きょ児じ希望(妊娠・出産を望むこと)のある方へのプレコンセプションケア、精神疾患を合併された方の治療、慢性期リハビリなど、個々のニーズに応じたきめ細かな体制を整えています。