文字サイズ

対談

心臓血管外科と
集中治療医の連携

よりよい治療のために、
多職種でつながるチーム医療

心臓・大血管の手術を行った患者さんは術後にICU(集中治療室)に入ります。
今回は当院の集中治療室・室長の長田先生とお話をした内容を掲載します。

集中治療室室長長田

×

心臓血管外科科長伊藤

心臓血管外科と集中治療医の連携

伊藤 | 心臓血管外科科長

心臓血管外科は、かつては手術を行うと術後管理も自分たちで行っていました。今でもそのようにしている施設はあると思うのですが、一方ご高齢であったり、いろいろな内科的なご病気を抱えている患者さんも心臓手術を行うことが多くなってきています。長田先生を中心に集中治療医の先生方に、術後一緒に診ていただけることはありがたいことだと思っています。

長田 | 集中治療室室長

心臓は人間にとって生命活動を司る最も大切な臓器、ダイナミックに動く臓器だと思うんです。悪くなった心臓を手術して治すというのは、ただ命を長らえるというだけでなく、生活の質を改善して有意義な時間を過ごすことができるという意味でもとても素晴らしいことだと感じています。
お話にあったように近年の高齢社会で併存疾患を抱える患者さんの手術をする機会も増えていますし、手術の技術も向上していて一昔前まではできなかった患者さんの手術もできるようになってきています。
一方で、リスクが増えることも多いので、そこが集中治療医として介入できるポイントなのかなと思います。

伊藤 | 心臓血管外科科長

長田先生、ありがとうございます。私たちも手術技術向上のため、日々努力しています。先生は集中治療医としてどのようなことに気をつけてるのでしょうか?

長田 | 集中治療室室長

患者さんに手術にいいコンディションで臨んでいただき、手術を無事終えることはもちろんですが、術後もしっかり管理して、いかにいい形で社会復帰できるかが大切だと考えています。
そのために必要なのはコミュニケーションだと思います。僕は熱い気持ちを持って手術をしている先生達の意見であったり、経験に基づく感覚というのはとても大事だと思っています。一方で、集中治療医としては患者さん本人が持っている力をいかに発揮させてあげられるか、そしてできるだけ早期に回復段階に引き上げていけるかが重要なポイントだと思っています。俯瞰的な目線から栄養やリハビリなどさまざまな専門家の意見も取り入れつつ、一つの結果に導いていくことが集中治療医の役割、醍醐味だと思っています。

集中治療室での他職種との連携について

伊藤 | 心臓血管外科科長

当院のICUは毎朝、事務職・コメディカルを含めたたくさんの専門職とのカンファレンスが行われていますが、先生はどのようにお考えですか?

長田 | 集中治療室室長

すごく良く機能していると思います。
ICUに入院している1人の患者さんを医師や看護師だけではなく、薬剤師、栄養師、リハビリスタッフなどの患者に関わる専門家と意見を交わすのはとても有意義だと思います。ただ、治療の方向性がずれてはいけないので、コミュニケーションを取りながら舵取りをしています。今は平日の朝だけですが、今後はデスカッションの機会を増やして刻一刻と変わりうる急性期の病態により即時に対応できるようにしていきたいと考えています。

伊藤 | 心臓血管外科科長

朝、決められた時間に1日の方向性を確認して、検査結果など情報収集が十分できた後にまた方針を共有できるのは、いいお考えですね。

長田 | 集中治療室室長

心臓外科を含めて外科系の先生達は忙しいと思うので。でも、患者さんの中には重症の患者さんも多く入院されていると思います。ですから、大切なのは協働だと思っています。入院している患者さんの治療介入の強度が落ちたり、タイミングを逸することがないように手術の前から我々、集中治療医も心臓外科の先生達とコミュケーションを取り周術期を通して介入していく必要があると思います。

当院の集中治療室の強み、今後について

伊藤 | 心臓血管外科科長

私と長田先生は慶應義塾大学病院で長く一緒に働いてきました。なんでもご相談できる間柄だと思っていて、信頼させていただいています。最後に先生の今後の取り組みについてお願いします。

長田 | 集中治療室室長

心臓外科の先生は術前から患者さんを見ていて、その人の背景であったり、病気に対する想いだったり、非常に大切にしていると思っています。先生がたのご意見も取り入れながら治療介入を行っていきます。
ICUで大切にしているのは他職種との一体感かなと思います。毎日のように話しますし、分け隔てなく議論もします。最近は色々な意見も出るようになってまだ完全ではないですがワンチームで診療に臨むことができると思っています。
今後の取り組みについてですが、これまでは術後にICUで初めて患者さんにお会いしていました。今後はICUに入院予定の患者さんに術前から会いに行って、関係性を築いて行きたいと考えています。

今回あらためて長田先生とお話をして、キーワードは「信頼と一体感」であったように思います。集中治療室としっかり連携し、安心いただける医療を提供できるようすすめてまいります。

心臓血管外科 伊藤 努

expand_less