リウマチ・膠原病内科サブスペシャリティーコース

理念

  • 内科疾患、リウマチ・膠原病に関する深い学識と高い臨床実践力を備えた専門医を育成する。
リウマチ膠原病内科 科長 鈴木 勝也

科長より

鈴木 勝也

当科の専門研修プログラムに興味を持っていただきありがとうございます。

リウマチ膠原病内科の魅力

 リウマチ、膠原病は、かつて難解で捉え所がないと思われていました。しかし近年、医学の進歩により分子レベルでの理解が深まり、次々と新薬が登場するなど、発展著しい内科の分野となっています。免疫系は自己免疫疾患だけでなく、感染症、がん、精神神経疾患等とも密接に関連することが明らかになり、免疫機構の理解とその調節はあらゆる疾患制御の核となりつつあります。また、超高齢社会を迎え、骨運動器系の機能維持が健康長寿に不可欠であることから、医療の需要が増加しています。さらに自己免疫疾患は女性の罹患率が高く、性差を考慮した医学にも近年注目が集まっています。時代による多少の浮き沈みはあれども、希少性が高く、挑戦しがいがある魅力的な内科の一分野であり続けることでしょう。

多彩なキャリアパス

 研修修了後の進路は様々です。当科でリウマチ膠原病の診療、教育研修、研究活動を行い、フェローを経てスタッフとなる。他の国立病院機構の病院等でスタッフとして専門診療に従事する。リウマチ膠原病の臨床経験を活かし、官公庁や製薬等の企業へ就職する。大学や研究機関で教育職や研究職に就く。診療所を開設して地域医療に貢献する。イノベーションを目指して起業する。いずれの進路に進むにせよ、将来、リーダーとしての職責を果たせるように指導を行っています。

専門医としての責任とやりがい

 医学の進歩を患者さんに直接届けるのが臨床医であり、臨床の醍醐味です。リウマチ膠原病の専門医数は需要に比して依然として少なく、「真に優れたリウマチ膠原病内科医」は常に求められています。しかしながら、医学の習得と医療の実践は決して容易な道のりではありません。思った通りに物事が進まないこともあると思います。時には多職種の同僚に助けられ、患者さんの一言に救われることもあるでしょう。経験豊富な指導医は医学や人間が万能でないことや患者さんが抱える悩みについて熟知しており、きっと適切なアドバイスを与えてくれるでしょう。医師には国民の負託に応えるべく専門職として生涯にわたり研鑽を積み、医学の進歩・発展に尽くす責務があります。皆様が研修を終える頃には、苦楽をともにした同じ道を歩む同志として頼もしく成長している日が来ること楽しみにしています。

研修修了者からのメッセージ

小西 美沙子(2020年修了)

 当院のリウマチ膠原病科研修は、主体性を持って診療に当たることが出来、希望があれば早期より外来(初診・再診)も担当をすることも出来ます。当科は全身に症状がでうるため、他科との連携が重要ですが、当院は他科ともとても相談しやすい環境です。関節エコーも勉強できます。勉強会や学会も多く、モチベーションが高まります。平日は当直医制、休日は当番制のため、終業後はしっかりと自分の時間を持ち、メリハリのある生活を送ることができます。また福利厚生も充実しています。私自身、産休や育休をいただき、妊娠出産その後の育児にも配慮していただけます。指導環境が整っており、興味があれば、研修医や専攻医でも国内の学会発表はもちろんのこと、英語論文執筆や国際学会での口頭発表の貴重な機会を得られ、非常に恵まれた環境です。当院に所属しながら、学位を取得することも可能です。またカンファレンスも非常に勉強となるものであり、当院での当科の研修はお勧めです。

羽磨 智史 (2023年修了)

 当院のリウマチ膠原病科の特徴として、総合内科や3次救急もある病院のため市中病院にもかかわらず幅広い膠原病疾患を経験することができます。日々の診療に関しては主体性を持ちつつ、上級医の先生とのチーム制であったり週に1回のカンファレンスがあることから常に相談しやすい環境で安心して研修を行うことができます。また科で超音波機器を保有しているのでいつでも関節超音波検査を自分たちで行うことができ、エコーの技術を学ぶこともできます。科長の初診外来のファーストタッチもさせて頂けるため外来診療を学ぶこともでき、学会発表や論文発表なども指導していただける環境のため市中病院でありながらもアカデミックな面も学ぶことができます。是非当科での研修をお待ちしております。

レジデントからの言葉

田畑 広樹

(2022年より研修開始)
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リウマチ・膠原病内科サブスペシャリティーコースを考えている人へのメッセージ

 当院は立地も非常によく、駒沢公園も近いため、穏やかな環境で過ごせます。平日休日問わず、夜間は当直医制であり、夜に呼ばれる心配もありません。各科の垣根も非常に低く、働きやすい環境だと思います。今後当院での研修を考えてくださる方がいらっしゃれば幸いです。

研修の概要

充実した症例経験と専門知識の習得

 病棟診療では、主治医の指導の下で担当医として診療にあたります。診療日は毎朝、病棟診療医チーム内で患者情報の共有を行い、病棟ラウンドを実施しています。指導医と直接ディスカッションをして、課題解決へのアプローチの方法のフィードバックを受けることができます。週一回火曜日午後に臨床カンファレンスを開催し、治療方針の確認を行なっています。
 外来診療では、週一回初診患者のファースタッチを行い、その後、指導医の診療に陪席しフィードバックを受けます。また、緊急に外来受診が必要となった患者の初期治療を担当することもあります。研修4年目には、入院担当患者の継続診療を中心に、専門外来を担当します。随時指導医に助言を求めることができ、専門外来診療の実践経験を積むことができます。

豊富な研修機会

 関節を中心とした超音波検査においては、指導医のもと検査者として症例を経験し、日本リウマチ学会登録ソノグラファーの資格の取得を目指しています。また、動画教材を用いた身体診察法の学習、偏光顕微鏡による関節液の結晶観察、ダーモスコピーによる毛細血管の観察、唾液分泌量測定など、当科の診療に必要な診察法や検査法を取得できるような環境を整えています。さらに、専門医取得に必要な整形外科手術見学、皮膚科との臨床病理カンファレンス、病理解剖およびCPC、オンライン学習を含む機構および院内の研修会、各種学会や研究会、医薬品情報説明会、地域における顔の見える病診連携など、さまざまな研修機会を提供しています。

安心して働ける環境

 平日は時間内に業務が完了できるように配慮をしています。夜間および休日は内科として、月に2−3回程度の当直業務を担います。内科病棟患者の夜間休日の時間帯は内科当直医がファーストコールへの対応をしています。また、休日の当科の対応はオンコール当番制となっています。上級医および救急科、麻酔科、放射線科、診療看護師など院内多職種によるバックアップ体制が充実しており、安心して業務が行えるように配慮を行なっています。当直の翌日は帰宅して休めるように業務調整を行うなど、医師の働き方改革の新制度の施行に合わせ、さらなる業務の見直し進めるなど、勤務環境の改善に向けて取り組んでいます。

盛んな研究活動

 専攻医期間中の研究活動も盛んに行っています。日常臨床の実践の中で最新のエビデンスとなる文献の検索や精読を行うとともに、興味深い論文については科内の抄読会でディスカッションが行われ、医学論文の批判的吟味の経験を積むことから始めています。次に、自身が経験した症例を丹念にまとめ、過去の報告との相違点を明らかにする症例報告、日常臨床での疑問の解決のために当科の過去の症例を分析し仮説を構築する症例集積研究などの臨床研究へ展開していきます。研究活動を通じて、自らの臨床を振り返り、将来の診療に役立てていく手法を学んでいきます。

国内外学会での発表と論文執筆

 研究活動の成果は、日本内科学会や日本リウマチ学会の学術集会、地方会、さらには米国、欧州、アジア太平洋リウマチ学会等で発表が行われ、国内外の学術雑誌へ論文としての報告を行っています。2022年度に専攻医が筆頭著者となった学会発表が11件(共著者11件)、論文筆頭著者が10件(共著者10件)と精力的行われました。研究テーマについては、最初は指導医が与えますが、その後は自らの興味に応じて自身で展開してけるように指導をしています。当科には多彩な専門性を持つ多数の指導医が所属しており、充実した指導を受けられる体制となっています。

手厚い研修支援体制

 専門研修を進めていく上で必要な支援を教育研修部、当科ならび院内関係部署において実施しています。

基本方針

 本プログラムは、日本専門医機構が定める新専門医制度に基づき、内科専門医、膠原病・リウマチ内科専門医の取得を目指す医師を育成します。研修対象は初期研修を修了した医師で、研修期間は4年間です。内科専門医研修期間の3年間のうち少なくとも1年間は連携施設での研修を必須とします。シーリング地域内の連携施設での研修期間には上限が定められており、上限を超える場合はシーリング地域外の連携施設を選択する必要があります。内科プログラムの全体の詳細は、専門研修プログラムの内科プログラム紹介をご覧ください。

 研修4年目に内科専門医試験、研究修了後の5年目に膠原病・リウマチ内科専門医試験を受験し、合格すれば専門医資格を取得できます。なお、研修修了後の5年目については、研修状況等を考慮し、当院の規定する要件を満たした場合には、当科の期間職員(レジデント)として引き続き研修を継続する機会が与えられます。

 本プログラムは、厚生労働省、日本専門医機構、関連学会、国立病院機構、連携施設等および当院の方針により将来変更される可能性があります。

診療の特徴

 当科は1980年に専門内科の一つとして開設以来、人口約140万人の東京都区西南部二次医療圏(目黒区、世田谷区、渋谷区)のリウマチ膠原病診療の基幹施設として地域の医療を支えてきました。国立病院機構の担う政策医療のうち免疫異常、骨・運動器疾患に関する医療の提供、教育研修と研究の役割に加え、慶應義塾大学医学部内科学教室の教育研修施設としての役割も担っています。

 診療では、リウマチ性疾患、膠原病、希少免疫炎症疾患など領域全般を対象としており、2023年度の外来通院患者数は約2,000名、入院患者数は約180名でした。関節リウマチ、脊椎関節炎、全身性エリテマトーデス、血管炎等に対する生物学的製剤による治療実績が豊富であることが特徴です。地域連携や院内各科からの紹介される未診断例が多く、早期の的確な診断により臓器障害を進展させない治療の実践に繋げています。

研究では、機構のネットワークによる新規薬剤治験や臨床および基礎研究、薬剤市販後調査、当科独自の臨床データベースを用いた臨床研究など数多く実施しています。それらの成果は国内および国際学会での発表ならびに論文として報告しています。
 教育研修では、診療科内での個別指導、臨床カンファレンス、院内および機構による各種教育研修に加え、近隣の医療施設との研究会なども積極的に開催をしています。

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